受験英語は悪か

英文の読み方研究の記事をUPしたら、学校英語が今の日本の英語力の足を引っ張っているのでは?というご意見をいただきました。この記事は日曜日から書き溜めて、書く時間のないときにササットUpできるように何度も書き足してあたためてました(笑)

私は現役の高校非常勤講師で、今の現状を知る身でもあります。自分が体験している観点からすると、学校でいままで日本人がならってきた英語が悪だというご意見には全面的には賛成できません。でも、難しい英文ばかりでなく、やさしい英文を大量にインプットするべきという意見には賛成です。

私は両方必要だと思っています。でも、現状では全く時間が足りません。前にも発音とか、学校英語に関しての記事を書いたのでもしよければコチラ→日本人に合う英語??

明治時代から「いかにして日本語と正反対の英語を短期間で習得できるか」という目的のもとに脈々とつちかった方法を具現化したのが今の現状ではないかと思います。日本語を最大限に利用する方法。おととしにも書きましたが、私は訳読式の授業云々よりも、とにかく英語という言語を習得するのに日本人にとってももっと時間が必要なんじゃないかと思うからです。訳読式で訳しても最終的に英文を音読して直解させているというところが忘れさられていたりします。昔暗唱させられませんでした?教科書。あれ、いいですよね。

やさしい英文だけの授業を中学の英語の時間である週に3度の授業でやると、おそらく一生かかっても英語習得は無理です。今はまた4回に戻ったかな?来年は4回になると思います。ホッ。これで少しは英語アレルギーにかかる生徒が減ることを祈ります。高校英語に面食らって嫌いになる子供の数も増えてると思います。

で、出てくる疑問「大学の入試問題が難しすぎる。」

今の高校はゆとりで減らされた中学での英語の力を難易度が変わらない入試レベルまで引き上げるのにものすごい苦労をしている状態です。3年という期間でそのレベルまで英語力をあげるなら、いきなり試合にでる実践方式をとりいれないと無理です。素振りだけでは無理。現場がどれほど苦労してるかが伝わればうれしいのですが。「使える英語」と「入試に合格する英語」目的も増えました。しかも英語の技能は最低でも4技能。限られた時間でどれだけのことができるか。しかも先生は英語教えてるだけじゃないですからね。私の夫は2次試験前は相当な数の国公立の英作文の添削を寝る間も惜しんで添削してました。

でもその入試問題も良問、悪問いろいろあるにしろ、平均的なそのレベルを読めなければ、英語の論文を読むのも苦しくなると思いに至っています。そのための英語のレベルでもあるかもしれません。これがなくなるとますます言われている「理系の学生」が減っていくかもしれません。研究は英語が主ですからね。

学校英語でも多読を取り入れたり、速読教材を入れたりと努力は続けられています。図書館にもたくさん英語の本が並んでいる学校も増えています。返り読みをさせる訳読式の授業はかなり減っています。ちなみに私がリーダーを担当したら、訳を配ります。訳を配りたがらない先生もいらっしゃるので、工夫して(笑)でも解説はみっちりしますよ。前から読ませて、文の構造を理解させるために返り読みもします。両方します。音読もかなり要求します(笑)

多読も日本語の本も読まない子に英語の本を読めなんてなかなか実現できません。最初は頑張っていた子供もだんだん英語の本を借りにこなくなります。何年も生徒にすすめてきましたが、定着しません。図書館に多読コーナーがある学校も本はきれいなままが多いです。学校全体が動いてやらないと無理です。本を読める状態にまですることが大変です。やってもその学年を担当する1年間、ステージの最初のところで止まってしまいます。せめて高校3年間続かないとあまり効果も見えてこないですしね。受験勉強で忙しくなって借りなくなります。

ネイティブをたくさん投入すれば英語力があがるというのも幻想です。進学校に行くほどオーラルコミュニケーションの授業が軽視されている例はたくさんあります。それより日本人の先生がリスニングの授業をしたほうが効果が高い場合もあります。全部がそうではないですがね。

リスニングの教材だって昔では考えられないぐらいいい学校用の教材がそろっています。なにせ多岐にわたるアプローチをしている暇がありません。リスニングをする時間がとれない。外国人の先生かリスニングかという選択になってきます。簡単な英語のゲームで遊ぶよりリスニングする場合の方が効果が高い場合もあります。英会話は人気がありますが、それは英会話は楽しくて息抜きになるという観点からです。サボりたいという理由で英会話をとる生徒もいるってことです。大学受験をメインに据えている進学校の中では表向きが英会話でも中身は文法というところもあります。

それに高校生は英語だけを勉強しているわけではないので、まじめにやっている生徒ほど忙しいです。
多読を本格的にやって本当に成功している例は大人の人の方が多いのではないでしょうか?もしくは親が管理している小さいお子さんや小学生。それはかけられる時間が違うから。大人は動機がはっきりしていて能動で多読をはじめていますからね。私もその一人です。

逆に受験英語でしかたなく勉強したから今の英語力を維持できてきたということも考えられます。その基礎力なしにいきなり英語の資格試験をやってみるともうかなり苦しい。よく生徒に入学試験のあとになるべく間をあけずに英検を受けるように葉っぱをかけます。どう考えても受かりやすい。昔の訳読式できちんと勉強された方々の英語力が負けているか?いやはっきり言って今の若者のほうが英語の力が劣っているかもしれません。

前から読んでいけば読めるというのももちろん一理あるのですが、日本語は語順がほぼ逆です。だから私達は英語を習得するのに壁にぶつかるわけです。英語の語順で日本語に直解して読んでいけば、たいていの英文はすみます。英語の小説はそれで全然大丈夫。そのアプローチはもちろん正しいものです。

では、全部の英語がそれですべてまかなえるか?答えはNOです。残念ながら、修飾する言葉などの位置が日本語と違うので、それらを明らかにする必要がある場合は難しいです。そうでないと意味がとれない文もあると思うのですが。日本語と言語があまりにも違うからこそ「英文法」が発達してるんじゃないかと思います。それとか、構文とよばれる型を覚えておいたら意味がすっと入るという感覚は読んでいて案外気持ちいいんですがね。

文の構造を理解していると、読む速度ももちろん早くなります。訳読式ととらえるのではなく、「構造を理解する」と考えればいいのでは?

どっちもそう肩肘はらず、とりあえず取り組んでみることが肝要ではないかと思うんですがね。私自身も両方を勉強してはじめて今の自分があると思っています。教えることで、どれだけ学んだか。英検1級の語彙のおかげでどれだけ洋書が楽に読めるようになったか。たくさんGraded Readersや簡単な英語の本を読んでどれほど速度が上がったか。それを今受け持っている生徒たちにいつも語っています。大学生になった時に英語の本を手にとってくれたらいいと願いながら。多読の本は学校にあっても実際に続けて読む生徒は若干名ではないかと思います。私は「読んだ冊数を記録して成績にいれるで。」と言って読ませたこともありますが、私が担当を外れるととたんに読まなくなってました。残念ですが、学校で多読が盛んな学校のほうが少ないのではないかと推測します。

私個人は、「これしかダメ」ではなくて、「どれもいい」方式で行きたいと思っています。

例えば、私がやっていた「音読パッケージ中級編」という本。音声を聞いて、間のポーズで言われた英語をリピートするというものです。英検2級のリスニング問題で、聞いたら内容は理解できるものです。でも、いざそれを完璧に再生しようとすると、「あれ?ここの冠詞はa,theどっちだ?」とか「前置詞はat?だったけ?inだったけ?」という具合に最初から全部はできません。接続詞beforeとかuntilがきて次に文章がきたりして、そのままその文をマネできればいいですが、意味はわかっても、詰まった時。「beforeだから未来の時でも現在形にしないといけない。」というルールが頭に浮かんでwillをいれないという判断を瞬時にします。3人称単数だって、ルールを覚えてるから話すときに「あ、sheだからsつけなくちゃ。」という意識が働きます。

これは、私たちが文法を習っているからできることです。それなしに、大量の英文のインプットだけでその規則性を自分自身で見出すのは難しいですよね。そういう意味で文法はやったほうが英語の力がぐっと上がると私は思います。本来ネイティブの子供が覚えるように英語を習う時間がとれればいいのですが、それをぐっと濃縮させて今の状態があるわけです。ですので、日本語を上手に利用して英語を習得すると考えてはだめなのでしょうかね。考えようによってはある意味楽だと思うのですが。

簡単なことと、難しいこと。緩急をつけて両方のアプローチをとったことが、長い道のりのようで実は短い道のりだったかもしれません。え?長い?すみません。でもPBを速く読めるようになったのはこの1,2年のことなのでまあまあ遠からずだと思うんですが(汗)

私は両方大事だと思います。いいとこどりでいいんじゃないかなあ。まあかたいこと言わないで。私はどちらのアプローチもとったので、そういう思いに至ります。

私は多読が声高に言われたときから多読を取り入れ、英検1級の勉強をし、教鞭をとり、できる範囲でですが、できることは何でも試してみました。そして自分の頭を通して「これは効くで~。」というものをどんどん生徒に還元していく。皆さんにも還元できれていればいいのですが。

どんなアプローチでも英語ができるようになればいいんですからね。とにかく何でも取り組むべし。
やってみたらわかる、やりきった時に何かが待っているものです。

以上現場の声でした。
さて、また仕事に戻りまーす。

今日も読んでいただきありがとうございました。