
The Scorpio Races
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Author :Maggie Stiefvater
Period:November 22nd ~December 5th
Category:Paranomal
421pages
Total recommends:★★★★☆
Difficulty:★★★☆☆
Story:★★★★☆
Can't-sleep-degree:★★☆☆☆
Romance-packed-degree:★★☆☆☆
Adventure-packed -degree:★★★☆☆
Mystery-packed-degree:★☆☆☆☆
大ヒット作「Shiver」シリーズとは一線を画した世界。荒々しい11月の海と伝説の馬をめぐる孤島の世界。その中にひっそりと芽生える青年と少女の心の交流。
あらすじ
舞台はアイルランドの小さな島。ここは伝説の馬「capaill uisce」がいる唯一の場所だった。島では年に一度この獰猛な馬に乗るレースが開催される。 Sean Kendrickは父をcapaill unsceに殺されあと、capaill unsceを飼育する馬主のもとで名ブリーダーとして過ごす日々だった。かれはすでに4回連続でレースに優勝していた。そのレースは危険な馬に乗ってのレース。命を懸けたレースでもあった。気を許すと人は馬に殺されてしまうという危険もはらんだものだった。
同じ島で海で両親を亡くした少女Puck。彼女は住み慣れた家を手放さないためにも海の馬ではない自分の馬でレースに出場することを決意。しかし女性がレースに参加することはかつてないことだった。レースまでの間なんとか練習を始めるPuckだったが、思うようには進まない日々だった。
やっぱり詩的な世界が健在でした。ロマンチック度は落ちたものの。これまたなんともいえない荒涼な世界に伝説の海からやってくる馬。風と寒さの11月。伝説の馬に親を殺された少年と少女。そして年に一度のレース。
スピードがありながらも、随所に垣間見れる少年と少女の心のふれあい。最後30%は心をぎゅっとつかまれる個所がいくつかありました。読みやすさや、とっつきの良さはShiverシリーズには勝てませんが、これはなんだか玄人受けするようなお話だなというのが私の感想です。ヤングアダルトの枠もちょっと超えた感じです。馬好きの人は心をわしづかみにされるかも。少年と少女の恋の始まりとともに、馬と人間の対立と愛情もていねいにていねいに描かれています。
英語は何度か書いたように、デビュー作とは一線を画しています。使う単語も難しくなってるし、スケールも大きいです。すごく落ち着いた感じで進みます。淡々と。これは舞台が崖の切り立つ伝説の馬がやってくる風の島だからですが、どこまでも荒涼感がつきまとう感じです。こんな私にまで風の音と寒さが読んでてぞわっと感じさせてくれるのはやっぱり作者の力量なんでしょうね。なんか雰囲気だけですが、嵐が丘の北ヨークシャーの冬の舞台にたってるような暗い感じもありました。
伝説の馬、実際には実在しないwater horse「海に巣食う人食い馬」(ケルトの神話に出てくるようです)をテーマに書いているので、馬の説明がすごく多くて、そこが最初はつかみにくかったです。water horseと普通の馬がでてきますしね。実際にwater horseに人が殺されるシーンもあります。一応そういう意味ではパラノーマルですが、この人の作品はパラノーマルという仮面をかぶっているだけで、全然そんな感じじゃないです。とってもピュアな感じがひたひたと伝わってきます。だから好きなのでしょうね。
作者はこの伝説の馬のお話を作家を志した学生の頃からずっと温めていたそうです。何度も何度も挑戦しては失敗してやっと作品になったそうです。崖の舞台を描くために確かイギリスの崖をご主人たちと2回も登って体験したとご主人たちに謝辞を贈っていました。
これもちらっと映画化のお話があると聞いたのですが、これは絵になると思います。馬のレースがクライマックスにきますからね。読む速度も最後にがぜん上がりました。最初は「こ、これはヤングアダルトのスピードで読めないな。」という感じで読み始めました。最後40%ぐらいからちょっと展開が早くなるので読みやすくなって上がりました。最初がとっつきにくかったので、これは最後まで★3つにしようか4つにしようか悩みました。透明感が健在で、やっぱり最後の読了感がよかったので自分の好みで4つです~。おそらくこれで完結だと思われます。3部作じゃないと思います。(サスペンスは怖いので4つぐらいでも3つになってるのあります。)
さて、これであと1冊で記念すべき50冊。でも12月は忙しいので大作に手をだすと危ないので、またロマンチック路線で行こうかなあと思っています。心は少女なのだ。
PBをペースダウンしてるので、ちょっとひやひや。でもがんばります。